災害救助犬について
災害救助犬とは?
優れた嗅覚で災害による行方不明者の捜索にあたります。
災害救助犬とは、地震や台風といった災害で行方不明になっている人を、主にその優れた嗅覚で捜索するために訓練された犬たちです。
サーチドッグやレスキュードッグとも呼ばれます。
人命救助にあたるため、災害救助犬にはとても慎重な判断力が求められます。また、災害現場という非日常的な環境においてもパートナーの指示に集中し、落ち着いて行動することも非常に重要です。
災害救助犬「じゃがいも」
被災地で生まれ、被災地で人を救う救助犬へと成長した災害救助犬です。
じゃがいもは、日本動物介護センターが育成した災害救助犬です。
決して災害救助犬向きとは言えない臆病な性格だったじゃがいもですが、今では救助活動だけでなく、皆さまへ元気と勇気をお届けするべく、これまでたくさんの挑戦を重ねてきた経験を生かして講演会活動などをおこなっています。
じゃがいもの活動は新聞やメディアにも取り上げられ、皆さまからあたたかな声援をいただいています。
じゃがいもの生い立ち
じゃがいもは、2011年6月、東日本大震災の3か月後に生まれました。
場所は、原発事故により全村避難を命じられていた福島県飯館村。
「人すら住めないこの場所ではこの子たちを育てられない。安全な場所でかわいがられて幸せになってほしい。」と考えた元の飼い主さんが、私たちのところへ兄弟犬とともに預けてくださいました。
犬の性格は生後2~3か月頃の影響が大きく、余震が続く中で生まれ過ごしてきたじゃがいもはとても警戒心の強い臆病な子で、兄弟犬が新しい家族へもらわれていく中、じゃがいもは最後まで残っていました。
災害救助犬への挑戦
ある日私が災害救助犬の訓練に向かおうとしていた時、じゃがいもが自分から車に乗り込みました。少しでも怖がりが改善したらいいなと、試しに災害救助犬の訓練をじゃがいもにもしてみました。すると1回で成功したのです。
そこから、じゃがいもの挑戦が始まりました。
災害救助犬の合格率は20~30%という狭き門で、優れた嗅覚と同じくらい勇敢さが求められます。
しかし、もともとは知らない人が多い場所では散歩すら怖がっていたじゃがいも。訓練では難なく成功していたことも、知らない人に囲まれておこなう試験では失敗してしまうことが続きました。
周囲に惑わされずパートナーに集中する練習としてドックランへでかけ、訓練士が毎晩自宅へ連れて帰り一緒にいる時間を増やして信頼関係を深め、できることを一つずつ増やしていきました。
諦めずに挑戦を重ねたじゃがいもは、11回目で合格することができました。それは2017年6月。故郷の飯館村の避難指示が解除された直後のことでした。
じゃがいもの変化
小さい頃のじゃがいもの性格は、災害救助犬向きとは言えませんでした。しかし今では別の犬かのようにたくましい救助犬へと成長しました。
現在じゃがいもは、災害救助の仕事がない間は介助犬として活動したり、講演会に参加したりしています。
人に褒められることが大好きなじゃがいも。皆さまにも講演会やイベントでお会いできることを楽しみにしています。
じゃがいもの活動
被災地での救助活動
災害救助犬の一番の仕事が、被災地での人命救助活動です。優れた嗅覚を用いて、瓦礫に埋まってしまって視認できない被害者などを捜索し、パートナーへ知らせます。
被災地は瓦礫や土砂が多く、足元が不安定で臭いもあります。そのような場所でも活躍するため、普段から障害物や土砂を用いた訓練が必要です。さらに瓦礫の隙間へ入っての捜索ができるようにする、伏せの状態で進む「クリープ」(人間でいう匍匐前進)など、必要な訓練は多数あります。
イベント・講演会への参加
被災地での活動がない間は、各地の防災訓練イベントや災害に備えるための講演会、里親会などのイベントに参加しています。
防災について、そして災害が起きてしまったときに「災害救助犬」という存在がいることについて、広く認知していただけるように活動しています。
メディア取材
じゃがいものこれまでの長い挑戦を、新聞・テレビなど各種メディアに取り上げていただいています。
2020年には、6年生の道徳の教科書にも教材として取り上げていただきました。
これまでに2冊の書籍も出版しておりますが、災害救助犬の認知度はまだ低いのが現状です。私たちはこれからもじゃがいもと共にたくさんの挑戦を重ね、災害救助犬の認知度向上や育成活動への支援募集に努めていきます。
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書籍出版
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TV「坂上どうぶつ王国」出演
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道徳の教科書
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雑誌「女性自身」掲載
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新聞名古屋市緑区
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日本経済新聞夕刊