介助犬のトレーニング

介助犬になるまで

生後1年で訓練をはじめ、人との信頼関係を築いていきます。

介助犬の訓練は、子犬の誕生から約1年で開始されます。
それまでは母犬や兄弟と一緒に生活し、生後2ヶ月になるとボランティアのお宅に預けられ、愛情をいっぱい受けながら人との生活習慣を身につけます。

1年を過ぎて訓練が開始されると、基本訓練や介助作業訓練などをおこないます。ここで介助犬の適性がないと判断された犬は、介助犬にはならずに一般のご家庭でペットとして飼っていただきます。

介助犬として一番大切なことは、人との信頼関係を築いていくことです。
訓練で一番重要とするのもこの信頼関係です。犬を力で押さえつけて言うことを聞かせるのでは関係はよくなりません。うまくできた時にタイミング良く褒めることで、信頼関係を築きながら楽しく訓練をすることができます。
そうすることで、訓練中に犬がストレスを抱えることもなく、それぞれの能力・個性を最大限に生かし育成ができます。

介助犬と人が信頼関係を築き一緒に作業を学んでいくことが喜びと感じられるようになれば、無理なく自然に仕事をこなせるようになります。

訓練の内容

指示語を覚える

犬に対する指示は簡潔な単語に限ります。訓練終了までに基本動作と介助作業を合わせて、約50の指示を教えます。
指示語は基本的に英語です。英語のほうが日本語よりも短く簡潔な単語が多く、犬が聞き取りやすいためです。また、日本語で短い単語を使うと「待て」「取れ」など厳しい口調になってしまうことも、英語が選択されている理由です。
しかしすべて英語ではユーザー側も大変なため、「新聞を取ってきて」=「テイク・しんぶん」など、日本語と組み合わせて指示を出すことが多いです。

人との信頼関係を築く

訓練犬は約1年間、トレーナーと共に色々な場所へ行き、どのような状況下でも興奮することなく人間に対して集中できるよう訓練を重ねます。犬が知らない事をひとつずつトレーナーが教え、徐々に慣れさせていくのです。
大好きなパートナーから「ありがとう」と喜ばれることで、犬も自信を持って仕事をするようになります。指示を出さなくても心で通じ合い、介助をしてくれる介助犬に育てるために、こちらからいつでも犬の気持ちを読み取ることを心掛け、信じてあげることが大切です。

パートナーとの合同訓練

パートナー = ユーザーが決定したら、そのユーザーに必要な動作の合同訓練を始めます。障がいにより不便を感じるシーンはユーザーごとに異なるため、そこに焦点を絞った内容の訓練となります。
介助犬認定申請をして試験に合格すると、身体障害者補助犬認定手帳が発行され、介助犬として人に同伴して公共施設や公共交通機関を利用できるなどの権利が与えられ、介助犬としてのお仕事がスタートします。